小生がお相手させて頂く中小企業経営者は、人材育成における時間が取れないということで大きなお悩みを抱えていらっしゃいます。普段のコミュニケーションを社内SNS上で行うことによってその糸口が見えてくるのではないかと考えています。
(1)経営の合理化策によって人材育成の余裕を失った職場
高度経済成長からバブル期の日本型年功制が崩れ始めてからもうどれくらい経ったでしょうか。経営の合理化策によって、効率重視の経営が続き、即戦力重視、プレイングマネジャー、といった言葉が人材ビジネス業界では飛び交っています。今や新卒5年から10年は人材投資としての猶予期間であるという考え方はもうほぼ崩壊していると言ってもいいでしょう。
2007年当時、いわゆる団塊世代を前に、「技術伝承」という言葉がメーカーを中心に飛び交い、私が属していた人材育成会社では「OJT研修」が一大トレンドになりました。OJTスキルが知らないのか、育てる時間がないのか、そもそも育てる意志すらないのか、その議論は置いておいても、転職採用ビジネスは盛り上がり、また、私がお伺いする企業様でも「次代を担う人材が育っていない」という声をお聞きします。
現実的に考えても、最近までトレンドであったFacebookやTwitterと呼ばれるSNS、iPodなど破竹の勢いで伸び続けるApple社、どれをとっても日本企業の名前は浮かび上がってきません。
「次のビジネスを育てる人材が育っていない」、というのはおおよそ間違いではないでしょう。そして、それが今回小生がBlogを書こうと思った理由です。次世代ビジネスリーダー育成の議論は、組織の制度、文化、新しい教育プログラムといった様々な問題が複雑に絡んでおりますので、ここでは割愛させて頂きます。むしろ、ここでは経営の合理化策によって失われてしまった「育成する文化」にもう一度、命を吹き込みたい、そして、その一助になるのが社内SNSではないか、ということを主眼にお話をさせて頂きます。
(2)『職場学習論』に見る職場学習の今
最近、小生が読んだ本の中に中原淳先生の『職場学習論〜仕事の学びを科学する〜』があります。昨今の職場学習の今をインタビューやアンケート調査を元に明らかにした内容ですので、こちらを元に、今回の社内SNSがワークプレイスラーニングの間隙を埋めるということについて書いて行きたいと思います。
この中原氏の研究でわかったことは以下の通りです。
・人は職場において、「業務支援」「内省支援」「精神支援」という3つの異なる支援は他者から受けている
・上司の「精神支援」「内省支援」、上位者・先輩の「内省支援」、同僚・同期の「内省支援」「業務支援」が、それぞれ「能力向上」に奏功している
・1)成功経験談も失敗経験談も、いずれも、「業務能力」の向上に資すること、2)組織レベルの信頼が成功経験談と失敗経験談の業務能力向上に対する効果を押し上げる
ここで、注目したいのは「業務支援」は上司ではなく、同僚や同期が貢献をしていることであろう。普段接している時間が長い上司ではなく、同期・同僚の方が業務支援を行っているというのである。
小生自身の経験でも、同じ業務をしている同期の方が悩みが共有でき、役立つということもあった。あるいは、上司から部下への業務支援は、業務遂行能力のギャップがあり過ぎて、部下は理解しきれないということが現実的に起こっていると思います。
(3)人材育成効率化へのポテンシャルが高い社内SNS
小生のキャリアとしては、組織・人事コンサルティング業界での経験が長いのですが、約1年ほどソーシャルメディアマーケティングコンサルタントとして活動していた時期があります。その組織では、ソーシャルメディア、とりわけFacebookを使って日々のコミュニケーションが行われていました。
メールは基本的には会社規定の業務(週報や交通費精算)、お客様とのやり取りがほとんでした。それ以外のコミュニケーションは基本的にはSNSです。
この活動を通してわかったことは、コミュニケーションの早さです。例えば、僕が何かお客様事例を情報収集したいと思っていたとしましょう。そこで、ぽんっとFacebook上に質問を投げかけます。基本的に、社内の人間は頻繁にFacebookを見ていますから、すぐその返答が全社から返ってくるという仕組みです。
「経験学習」と呼ばれる理論があるように、基本的にビジネスパーソンはOJT、日々の業務から学びます。これを促進するのが社内SNSだと思うのです。SNSでは日々のコミュニケーションが気軽に、かつスピーディに行うことが出来ます。
メールだと、宛先指定が非常に面倒であり、コミュニケーションそのものがフォーマルなので、投げかける質問内容などもフォーマルに書かざるをえません。そういったことが障壁になって、メールは人材育成のためのコミュニケーションツールとしては使えませんね。
そういう意味で、社内SNS、今後も注目していきたいと思います。
それでは、また。
小生のキャリアとしては、組織・人事コンサルティング業界での経験が長いのですが、約1年ほどソーシャルメディアマーケティングコンサルタントとして活動していた時期があります。その組織では、ソーシャルメディア、とりわけFacebookを使って日々のコミュニケーションが行われていました。
メールは基本的には会社規定の業務(週報や交通費精算)、お客様とのやり取りがほとんでした。それ以外のコミュニケーションは基本的にはSNSです。
この活動を通してわかったことは、コミュニケーションの早さです。例えば、僕が何かお客様事例を情報収集したいと思っていたとしましょう。そこで、ぽんっとFacebook上に質問を投げかけます。基本的に、社内の人間は頻繁にFacebookを見ていますから、すぐその返答が全社から返ってくるという仕組みです。
「経験学習」と呼ばれる理論があるように、基本的にビジネスパーソンはOJT、日々の業務から学びます。これを促進するのが社内SNSだと思うのです。SNSでは日々のコミュニケーションが気軽に、かつスピーディに行うことが出来ます。
メールだと、宛先指定が非常に面倒であり、コミュニケーションそのものがフォーマルなので、投げかける質問内容などもフォーマルに書かざるをえません。そういったことが障壁になって、メールは人材育成のためのコミュニケーションツールとしては使えませんね。
そういう意味で、社内SNS、今後も注目していきたいと思います。
それでは、また。